フード・サニテーション・コラム

no.11 一般的衛生管理プログラム 10項目の理解と実践について−2
●従業員教育とは?
衛生管理の維持向上のため、食品を衛生的に取り扱う心構えと食品衛生に関する基礎知識等を従業員に理解させることを目的とし、「対象者」「内容」「スケジュール」を定めた教育訓練計画を作成し、これを実施するとともに実施内容を記録します。

●教育プログラムと従業員教育
1 教育プログラムの具体的実施例
(1) 新規採用者 業務内容に応じて、あらかじめ必要事項・衛生教育を実施する
 
(2) 各種管理担当者 HACCPシステムを含む、食品衛生管理に関する教育を行うとともに、食品衛生意識の高揚を図るために、必要項目について衛生教育を実施する
 
(3) CCPの管理・監視担当者 配属時、その必要性と記録方法、改善処理方法の教育と現場訓練について実施する
 










 
   
2 教育訓練・履歴の記録の必要性 記録することにより、協力社員、社員、管理職等の技能の習得度合いを確認することができるようにしておくため
 
3 訓練手法 職場外において集中的に行う集合訓練
職場において、業務を通じて行う教育
 

牛乳による大きな食中毒事件を発生した黄色ブドウ球菌は、一番身近にある、記憶に新しい食中毒菌です。
洗浄不良の他、傷や怪我、髪の毛や鼻腔、手荒れ等にも生存しています。
黄色ブドウ球菌の汚染対応策としては、以下のように習慣づけることが大切です。

製造ラインに入場する場合は、入口の衛生室を経由して、所定の洗浄消毒を行ってから入室することが必要です。原料に香りが移る濃い香水や化粧は控えめにするよう注意が必要です。
指輪・ネックレス・ピアス・マニキュア等の着用はさせないこと。
また、下痢をしている者、手指に怪我や傷がある者、目やにのついている者、顔等の吹き出物がひどい者は基本的に入場させないこと。もしもやむを得ず入場させる場合は、品質チェック者の直接の判断を要し、直接生産にかかわる作業には従事させないようにする等の措置が必要です。
 
また、怪我や傷等がある場合は、個人単位で自己申告が出来る管理体制が大切です。その程度により作業従事中止の指示、軽度の場合は、抗生物質系の軟膏を塗布し、2〜3分乾燥後、手袋を着用させてから、作業継続許可を出します。

日々の管理、特に手指の管理方法としては、無臭のハンドクリームを利用し、その際は大きな容器に入ったものを大勢で使用するのではなく、個人で準備し、コンタミ防止に努めることが必要です。

作業中は30分毎に所定の消毒液に手指を浸漬(30秒以上)し、流水で洗い流した後、作業を継続する方法もあります。
また、作業効率を考えて、係員が消毒用台車を持って回る方法や、個人が小型のアルコール噴霧器を腰に下げる方法なども考えられます。
保菌者のチェックは、新規採用時には必ず行い、全従業員は定期的に(3ヶ月に1回以上)チェックすることが必要です。
 

黄色ブドウ球菌とは??

性状

1980年に示されたブドウ球菌属の分類ではコアグラーゼ産生能を有する菌種は黄色ブドウ球菌のStaphylococcus aureus、S.intermedius 及び S.hyicus subsp.hyicus の3種類である。そのうち、食中毒の原因菌となるのは黄色ブドウ球菌のみである。
黄色ブドウ球菌はグラム陽性の球菌で、通性嫌気性・ブドウ糖を発酵し、マンニットを分解、卵黄反応陽性で、エンテロトキシンをはじめ、多くの毒素、酵素を産生する。
 

分布 ヒトや動物の化膿巣、健康なヒトの鼻前庭・鼻腔・手指・皮膚及び毛髪に存在し、動物やゴミなど、私どもの生活環境に広く分布している。
 
病原性 エンテロトキシンを産生して毒素型の食中毒を起こすほかに、化膿性疾患・肺炎・骨髄炎・敗血症などを起こす。近年、小児のブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)や毒素性ショック症候群(TSS)の原因菌として注目されている。
 
症状 本食中毒症状の特徴は潜伏期間が短く、早い症例では喫食後30分で発症することもあり、毒素型食中毒の典型的な例である。一般的な潜伏時間は1〜6時間、平均潜伏時間は3時間程度で、悪心・嘔気が起こり嘔吐が発生する。嘔吐の回数は5〜10回程度が多く、激しい嘔吐の場合は胃内容の吐瀉に続き、黄色い胆汁液を吐き、さらに激しいときは血液を吐出する場合もある。
嘔吐に続いて腹痛及び下痢も見られることが多く、その回数は5〜10回程度が多い。軽い症状では悪心・嘔吐が数回あり、下痢症状はなく一過性でおさまる。
発熱は不規則で発生する場合と発生しない場合があり、発生した場合でも38℃以下である。本食中毒はだいたい24時間以内に回復し、後遺症はほとんど残らない。
 

参考文献 実務食品衛生(中央法規出版)